2025.02.17

1. はじめに
フォークリフトは工場や倉庫、建設現場などで欠かせない作業車両ですが、運転中の事故が後を絶ちません。特に、シートベルト未装着による重大事故が多く報告されており、その危険性は軽視できません。
本記事では、フォークリフト事故の実態とシートベルト未装着が招く危険性・具体的な事故例を紹介し、安全対策の重要性を解説します。
2. フォークリフト事故の発生状況
フォークリフトは比較的低速で動作するため、一見すると安全な車両のように思えます。しかし、重さは1~5トン以上にもなり、操作を誤ると大きな事故につながります。
フォークリフト事故の統計
厚生労働省のデータによると、労働災害による死亡事故のうち約10%がフォークリフト関連です。
主な事故の内訳は以下のとおりです。
転倒・横転事故(約40%)
挟まれ事故(約30%)
衝突事故(約20%)
荷崩れによる事故(約10%)
このうち、特に死亡事故につながりやすいのが「転倒・横転事故」であり、その原因の多くはシートベルト未装着です。
3. シートベルト未装着が招く危険と具体的な事故例
事故例①:横転したフォークリフトから放り出され死亡
【状況】
倉庫内でフォークリフトを運転していた作業員が、急旋回をした際に横転。運転者はシートベルトをしておらず、車両の外へ放り出された。
【結果】
フォークリフトの下敷きになり、即死。シートベルトを着用していれば、運転席に留まり助かった可能性が高い。
事故例②:傾斜地でフォークリフトが転倒し、運転者が下敷きに
【状況】
工場敷地内の傾斜地でフォークリフトを運転していた作業員が、バランスを崩して転倒。運転者はシートベルトをしておらず、車両から投げ出された。
【結果】
フォークリフトの荷台部分が運転者の上半身を直撃し、圧死。
事故例③:急ブレーキ時に運転者が投げ出され重傷
【状況】
狭い倉庫内でフォークリフトを運転中、作業員が突然通路に飛び出してきたため急ブレーキをかけた。運転者はシートベルト未装着のため、前方に投げ出された。
【結果】
頭部を棚に強打し、意識不明の重傷。
4. シートベルト装着の重要性
フォークリフトには”安全フレーム(オーバーヘッドガード)”が設置されており、シートベルトを着用していれば運転席に留まりやすくなります。これにより、転倒・横転事故時の死亡リスクを大幅に軽減できます。
また、シートベルト未装着は労働安全衛生法違反となる可能性があり、企業が罰則を受けることもあります。
5. 企業が取るべき安全対策
① シートベルト警告アラームの導入
運転者がシートベルトを着用していない場合、警告音を鳴らすシートベルト警告アラームを導入することで、未装着を防ぐことができます。
② 安全教育の徹底
フォークリフト運転者に対して、シートベルト着用の重要性を繰り返し教育し、定期的な安全講習を実施することが重要です。
③ 定期的な安全点検
フォークリフトの安全装置が正常に作動しているか確認し、シートベルトの破損や劣化もチェックすることが必要です。
6. まとめ