2024.8.7
物流業界では、環境保護と効率性向上を目指す取り組みとして「モーダルシフト」が注目されています。モーダルシフトとは、貨物輸送をより環境負荷の低い輸送手段に切り替えることを指します。具体的には、トラック輸送から鉄道輸送や海上輸送に変更することが一般的です。この記事では、モーダルシフトの重要性、推進するための施策、およびその影響について詳しく解説します。
モーダルシフトの重要性
1. 環境負荷の軽減:
トラック輸送はCO2排出量が多く、地球温暖化の一因となっています。一方、鉄道や船舶による輸送は、単位当たりのエネルギー効率が高く、CO2排出量が少ないため、環境負荷を大幅に軽減することができます。
2. 交通渋滞の緩和:
大量の貨物を鉄道や船舶に移行することで、道路交通の混雑を緩和し、都市部の交通渋滞を減少させる効果があります。これにより、交通事故のリスクも低減します。
3. 効率性の向上:
長距離輸送においては、鉄道や船舶の方がコスト効率が高い場合が多いです。特に、大量の貨物を一度に輸送する際にそのメリットが顕著に現れます。
モーダルシフトを推進するための施策
1. インフラ整備:
鉄道貨物ターミナルや港湾施設の整備、連携強化が必要です。例えば、貨物駅の増設や積み替え施設の充実化が挙げられます。また、物流センターの立地を鉄道や港湾に近い場所にすることで、輸送効率を向上させることができます。
2. 政策支援:
荷主や物流事業者が「協議会」を開催し、モーダルシフトなど総合効率化計画を策定・実施する場合、 諸経費や運航経費の一部を補助する支援を行うというものです。
補助制度の適用には各自治体ごとにさまざまな条件があるためご注意ください。
また、優良事業22件46社に対し海事局長表彰を実施し、そのうち特に革新的な取組等を行った1件3社に対し、海運モーダルシフト大賞を授与しています。令和5年度は、荷主がダイキン工業株式会社(荷主)、下関三井化学株式会社(荷主)及び活材ケミカル株式会社(物 流事業者)の3社が受賞しました。
3. 技術革新:
IT技術やIoTを活用した効率的な物流管理システムの導入が求められます。これにより、貨物の追跡や輸送ルートの最適化が容易になり、鉄道や船舶への移行がスムーズに進むでしょう。
4. 教育と啓発活動:
企業や物流担当者へのモーダルシフトのメリットを周知するための教育や啓発活動も重要です。セミナーやワークショップを通じて、モーダルシフトの具体的な手法や成功事例を共有することが効果的です。
モーダルシフトの影響
1. 環境への貢献:
モーダルシフトの推進により、CO2排出量の削減が期待されます。これにより、地球温暖化の進行を遅らせることが可能です。また、大気汚染の軽減にも寄与します。
2. 経済効果:
輸送コストの削減や輸送効率の向上により、企業の競争力が強化されます。さらに、鉄道や船舶の利用増加に伴い、関連産業への波及効果も期待されます。
3. 社会的影響:
交通渋滞の緩和や交通事故の減少により、都市部の住環境が改善されます。また、鉄道や港湾施設の整備が進むことで、地域経済の活性化も見込まれます。
結論