2025.03.11
倉庫や工場で欠かせないフォークリフトですが、事故が発生すると作業の遅延だけでなく、人的被害や金銭的損失が発生します。
本記事では、フォークリフト事故のコストと、AIカメラ導入の費用対効果を具体的な数値で検証します。

1. フォークリフト事故の発生確率とコスト
①フォークリフト事故の発生率
厚生労働省のデータなどをもとに、フォークリフト1台あたりの年間事故発生率は5%(0.05件/年) と仮定します。また、発生した事故の種類ごとの割合を以下のように設定します。
事故の種類 | 発生割合 | 1件あたりの平均コスト | 1台あたりの年間発生確率 | 1台あたりの年間平均コスト |
重大事故(死亡・重傷) | 10% | 3,000万円 | 0.05 × 10% = 0.005件 | 15万円 |
軽傷事故(骨折・打撲) | 40% | 300万円 | 0.05 × 40% = 0.02件 | 6万円 |
物損事故(棚・商品破損など) | 50% | 100万円 | 0.05 × 50% = 0.025件 | 2.5万円 |
合計 | - | - | - | 23.5万円 |
つまり、フォークリフト1台あたりの年間事故コストは約23.5万円となります。
2. AIカメラ導入のコストと削減効果
① AIカメラの導入費用
AIカメラは、フォークリフトの前方・側面に取り付けることで、歩行者や障害物を検知し、事故を未然に防ぐシステムです。
初期導入費用(1台あたり):30万円
年間維持費:0円(本試算では考慮しない)
② AIカメラによる事故削減効果
AIカメラを導入することで、事故発生率を40%削減できると仮定します。この場合、事故コストの削減額は以下のようになります。
導入前の年間事故コスト:23.5万円
導入後(40%削減):23.5万円 × 60% = 14.1万円
削減額:23.5万円 − 14.1万円 = 9.4万円
3. ROI(投資対効果)の試算
AIカメラ導入による費用対効果をROI(投資回収率)で試算します。
項目 | 1年目 | 2年目 |
AIカメラ導入費用 | 30万円 | 0万円 |
事故削減額 | 9.4万円 | 9.4万円 |
年間の収支 | -20.6万円 | +9.4万円 |
ROI(投資対効果) | -68.7% | +31.3% |
1年目は導入コストがかかるためROIはマイナスですが、2年目以降は年間9.4万円のコスト削減が得られ、ROIは+31.3% となります。3~4年の運用で投資を回収できる計算になります。
4. AIカメラ導入のメリット
① 人的被害のリスク低減
フォークリフト事故は、作業員の命に関わることもあります。AIカメラは危険をいち早く検知し、オペレーターに警告を発することで、重大事故の発生を防ぐことができます。
② 事故による作業停止を防ぐ
事故が発生すると、安全対策の見直しや調査のために作業が停止することがあります。AIカメラを導入することで、そもそも事故を未然に防ぐことができ、業務効率の向上につながります。
③ 企業の安全意識向上
AIカメラを導入することで、安全対策への取り組みを社内外にアピールできます。特に大手企業では、安全対策を徹底している協力会社を優先的に選定するケースも増えており、ビジネス上のメリットも期待できます。
5. まとめ